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隣で歓談していた戦友が、突然撃たれる。倒れた後、互いの手を握り締め、涙をこぼして家族への最後の言葉を伝える……などということは実際の戦争では起こらない。次に撃たれるのは確実に自分。見えない相手の恐怖と戦いながら、見えない相手と一戦交える──。
戦争ジャーナリストでもあるマーク・ボールが、2004年にイラク駐留の爆発物処理班を取材した体験を脚本化した「ハート・ロッカー」。女性監督キャスリン・ビグローの冷めた視線が観客を映像に引き込み、戦争そのものに巻き込まれたような錯覚を引き起こす。第67回米ゴールデン・グローブ賞で最優秀監督賞など3部門にノミネートされたほか、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞で作品賞、監督賞を受賞。米アカデミー賞では9部門にノミネート、作品賞も有力視されている。
イラク・バグダッド郊外。米軍の爆発物処理班は日々、爆弾の解体、爆破作業を進めていた。ある日、ラジコンでの遠隔処理に失敗し、手動で作業を進めていると、避難しそびれた市民がかけた携帯電話に爆弾が反応し、爆発してしまう。その後、殉職した隊員に代わり、“約800個の爆弾処理に成功した”経験を持つ、命知らずのウィリアム・ジェームズ(ジェレミー・レナー)が赴任してくる。処理班と姿なき爆破犯の壮絶な死闘が再び始まる。
爆弾処理にあたり、あまりにリラックスした態度のジェームズ。処理班のサンボーン(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)は、反感を覚える。典型的な黒人労働者階級出身のサンボーンは、白人のジェームズに心の底で嫌悪感を抱いている。目の前で爆死した仲間がトラウマのエルドリッジは、精神科医の世話になっている。そんなばらばらな3人だが、チームメイトとして修羅場をくぐるうち、友情以上の固い絆を築いていく。ジェームズに対するサンボーンの言葉が印象的だ。「子供をつくることにする。彼女がずっとほしがっているんだ。僕のレガシー(遺物)を残したくなった」。人間の本能に目覚めたかのように、少し悲しげなサンボーン。ジェームズは別れた妻との間に息子がいるが、ほしくて作った子供ではなく、愛情を持てない。だが、基地でDVDを売る少年には優しさを見せる。
実際の戦争は、数秒の気の緩みも許されない。3人は40キロもあるスーツを着て、毎日数個の爆弾を処理する。「ドキュメンタリーに近い雰囲気を出すため、俳優に自由に動いてもらい、カメラの位置を明かすことなく、隠し撮りのような手法を使った」というビグロー監督。過酷なヨルダンの砂漠での撮影で、俳優たちは本当に命の危険を感じたという。
「戦争は麻薬である」冒頭で米ニューヨーク・タイムズの記者、クリス・ヘッジスの言葉が流れる。「平和のため」と戦争を起こす政治家、利権をむさぼる企業に向けた言葉ではない。家族と囲む夕食を夢見ながらも、戦場ではアドレナリンを放出させて任務を遂行する。脳内麻薬に犯された兵士たちは、帰国後に本気で戦地を懐かしむのだ。“戦争中毒者”の問題は、もはや無視できる段階にない。トラウマの一言で片付けられない深い問題を、「ハート・ロッカー」は提起している。
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ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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