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緑の芝山、よく整備された日本庭園、北の海岸、対極中の障子の光、こんなに美しい日本の風景を映した作品は、日本映画でも「殯(もがり)の森」以降無く、たまには映像美を眺めるだけの映画もいいかもしれない。昭和最強の囲碁士の呉清源の一生を描いた、中国の巨匠田荘荘監督による4年振り、2007年公開作品。

北京で天才棋士と呼ばれた少年、呉清源(チャン・チェン)は日本の棋士、瀬越(江本明)の尽力によって母と来日する。彼はその実力で日本囲碁界のトップにまで昇りつめていくが、厳しい勝負の世界の中で次第に深い孤独を感じるようになっていく。後に昭和最強と呼ばれる呉清源は、常識を覆す打ち方を提唱、トーナメントにも勝ち進み、最高段位の名人となる。一方日中戦争が勃発し、二つの祖国で揺れ動く中、新居が空襲で失われ、食料不足の困難に遭う状況で、やがて新興宗教に傾倒して行ってしまう。

この映画は、もう映像と衣装を見るだけの作品で、草木の緑の丘に川端康成と座る呉や、碁盤に碁を打つ指、呉の着ている深みのある鶯色の着物。呉と和子の祝言で交換される赤い糸、色にこだわりつつも完璧な構図の映像は、田監督の日本への愛情が伝わってくる。私達が気付かないような精緻な日本の美を反対に学べるほど。

主演のチャン・チェンは、14歳から60代までの呉を演じている。繊細で物静か、時には息を飲むほど美しく、安定した存在感で挑んでおり、稀代の美青年だった呉清源役は彼しかいない、と田監督にほれ込まれての起用だが、日本語はほとんど棒読みに聞こえ、名優も外国語では形無しと見えた。同じく日本語で演じた「シルク」の方が彼の持ち味が出ているように感じた。
ただ特筆すべきは、歩き方や仕草。実際存命の呉本人と3ヶ月一緒に生活して得た、細かな立ち居振る舞いも、30代の呉を知っている彼の友人が、そっくり、と驚いたという。だがその分日本語にももう少し神経を使って欲しかった。また14歳から50代位まで、ふけメイクのない同じ顔というのにも、違和感を覚えてしまう。

一方日本の俳優人は及第点。江本明、松阪慶子などのベテラン勢が、意地を見せている。
深い孤独、華人として日中戦争で板ばさみになる思い、事故や病気での痛み、などが全く伝わってこないのが、非常に残念なのだが、どっぷりと昭和時代の様式美に浸るのもいい。上海国際映画祭、最優秀作品受賞、中国107分。
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自己紹介:
ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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