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ニューヨークのチャイナタウンは、香港、中国本土、台湾と時差なし。ここでは最新の映画タイトルのDVDが手に入ります。映画情報をいち早くお届けします。
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「さらばわが愛、羅王別姫」でカンヌ国際映画祭、パルムドールを受賞した、チェン・カイコー監督が再び京劇の世界に挑んだ。実在した伝説の女形梅蘭芳の歴史に翻弄された波乱万丈の人生を描く。

 中華民国初期。京劇界の大物十三燕(王学[土斤])に師事した梅蘭芳(余少群)は人気の高い女形となっていた。ある晩、外国帰りの高級官僚、邱如白(孫紅雷)の講演を聞きに行くと、旧来の京劇を批判し、俳優は生身の人間を演じるべきという主張に感銘を受けた梅蘭芳は舞台に招待する。彼の美しさに魅了された邱は、地位も家も捨てて梅蘭芳を助けることを決意した。梅蘭芳は人気を増すが、師匠の十三燕はそれを快く思わず、3日間で別々の劇場で上演し、客の入りを競おうと勝負を持ちかける。オリジナルの現代悲劇を演目にすることで、2日連続の勝利を勝ち取る。 20年代後半。名実ともに京劇界のトップ俳優となった梅蘭芳(レオン・ライ)は、邱如白と銀行家の「六爺」(英達)とともに、京劇のアピールのために、ニューヨーク公演を企画していた。そんなある日、梅蘭芳は京劇界トップの男役、孟小冬(チャン・ツィイー)と知り合い、二人の中は急速に接近していく。初めて寂しさを癒す事のできる相手に出会った梅蘭芳、だが役者生命に危機を及ぼすと考えた邱如白は、芝芳と小冬を逢わせて小冬に恋をあきらめさせた。しかし、邱如白は刺客まで雇って小冬を殺すことまでも考える。NY公演は成功裏に終わったが、刺客を雇ったのが邱如白だと梅蘭芳が知ると、2人の仲は急速に冷えてしまう。そして日本が北京を占領した1937年、彼は京劇をやめることを決意し、邱如白とも別れて上海に向かう。

金馬賞に輝いたユィ・シャオチュンがとにかく美しく素晴らしい。前半部分、若年の梅蘭芳を演じたが、妖艶な美しさで、多くの男達を惑わせてしまった、女以上に女らしいと言わしめた、梅蘭芳そのものと思えるほど。後半のレオン・ライが演じた部分は、白塗りの顔に肉が付きすぎで、まるで馬鹿殿様。がっかりさせられてしまう。チャン・ツィイーも平凡。梅蘭芳が始めて生身の人間に恋をする説得力や、引き裂かれる悲惨さはまるで感じられない。中国映画では、ハリウッド級スターを使わないと、興行収入に響く事情は察するもの、前半のユィの華奢で小さな身体が 突然巨人の様に大きくなり、巨人レオンの女形と女性でも細身のチャンが男形、二人で合わせる場面は、つい失笑させられる。無理があるとは本当に誰も思わないのだろうか。中国映画界の人材不足の深刻さを考えさせられてしまう。

邱如白役のスン・ホンレイが数々の助演男優賞に輝いたのは、順当。梅蘭芳の芸を愛するあまり、人生を翻弄されるインテリ中年の邸は、狂人さながらに梅蘭芳の人生をコントロールしようとする。溢れるような情熱が滲み出るような、控えめながら強い信念を持つ男を、印象的に演じている。
日本兵役の安藤正信は中国語までマスターし、力演だとは思うが、日本語の台詞がどうしても滑舌が悪く聞こえる。最近日本の俳優の中華圏作品への出演が相次ぐが、俳優達は外国語の台詞を勉強する前に、まず自国で台詞が言えるようにしてもらいたいものである。

2時間26分の大作で、各時代に沿って微細まで忠実な美術や衣装、京劇のシーンなどは見ごたえあるが、1部のキャスティングの失敗が致命的で、残念な仕上がりだ。
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緑の芝山、よく整備された日本庭園、北の海岸、対極中の障子の光、こんなに美しい日本の風景を映した作品は、日本映画でも「殯(もがり)の森」以降無く、たまには映像美を眺めるだけの映画もいいかもしれない。昭和最強の囲碁士の呉清源の一生を描いた、中国の巨匠田荘荘監督による4年振り、2007年公開作品。

北京で天才棋士と呼ばれた少年、呉清源(チャン・チェン)は日本の棋士、瀬越(江本明)の尽力によって母と来日する。彼はその実力で日本囲碁界のトップにまで昇りつめていくが、厳しい勝負の世界の中で次第に深い孤独を感じるようになっていく。後に昭和最強と呼ばれる呉清源は、常識を覆す打ち方を提唱、トーナメントにも勝ち進み、最高段位の名人となる。一方日中戦争が勃発し、二つの祖国で揺れ動く中、新居が空襲で失われ、食料不足の困難に遭う状況で、やがて新興宗教に傾倒して行ってしまう。

この映画は、もう映像と衣装を見るだけの作品で、草木の緑の丘に川端康成と座る呉や、碁盤に碁を打つ指、呉の着ている深みのある鶯色の着物。呉と和子の祝言で交換される赤い糸、色にこだわりつつも完璧な構図の映像は、田監督の日本への愛情が伝わってくる。私達が気付かないような精緻な日本の美を反対に学べるほど。

主演のチャン・チェンは、14歳から60代までの呉を演じている。繊細で物静か、時には息を飲むほど美しく、安定した存在感で挑んでおり、稀代の美青年だった呉清源役は彼しかいない、と田監督にほれ込まれての起用だが、日本語はほとんど棒読みに聞こえ、名優も外国語では形無しと見えた。同じく日本語で演じた「シルク」の方が彼の持ち味が出ているように感じた。
ただ特筆すべきは、歩き方や仕草。実際存命の呉本人と3ヶ月一緒に生活して得た、細かな立ち居振る舞いも、30代の呉を知っている彼の友人が、そっくり、と驚いたという。だがその分日本語にももう少し神経を使って欲しかった。また14歳から50代位まで、ふけメイクのない同じ顔というのにも、違和感を覚えてしまう。

一方日本の俳優人は及第点。江本明、松阪慶子などのベテラン勢が、意地を見せている。
深い孤独、華人として日中戦争で板ばさみになる思い、事故や病気での痛み、などが全く伝わってこないのが、非常に残念なのだが、どっぷりと昭和時代の様式美に浸るのもいい。上海国際映画祭、最優秀作品受賞、中国107分。
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プロフィール
HN:
hkny Emi Ueyama
性別:
女性
自己紹介:
ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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