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ニューヨークのチャイナタウンは、香港、中国本土、台湾と時差なし。ここでは最新の映画タイトルのDVDが手に入ります。映画情報をいち早くお届けします。
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何らかの事情に巻き込まれてしまい、思ってもいない方向に足を踏み外して行く。日常でも決してありえない話じゃない。それでもさすがにこんな男はいないし、こんな男に絡め取られていくやつもいない、はずだけど。
ジョニー・トー監督の「マッド探偵」は、キチガイ元警官バンを軸に展開していく。サイコスリラーとも、アクションとも、コメディともいえない、しかしそのどのカテゴリーとしても十分に納得できるトー・ワールド炸裂の傑作だ。

 窃盗犯を追う警官二人が、森の中へ迷い込む。うち一人は、犯人とともに行方不明に。しばらくして連続殺人事件が発生。凶器に使われたのは、消えた警官の銃だった。捜査にあたった刑事・ホー(アンディ・オン)は、人間の内面が見透かすことができる男(ラウ・チンワン)に協力を依頼する。バンはかつて有能な刑事だったが、透視による意味不明な行動が原因で退職させられていた。ホーはともに、犯人の行方を追う。二人は、行方不明になった警官の片割れ・コウ(ラム・ガートン)が怪しいとにらんでいる。バンの目にはコウの中の“7つの人格”が透けて見えていた。若く美しい女、太った大食いの男……次々と現れては消える。それだけではない。自分の離婚した妻が、今も一緒にいると信じるバン。

彼はただのキチガイか、それとも本当に心の中の声が聞こえているのか。最後の最後までわからない、いやきっとどちらも本当なんだろう。思考の迷宮に迷って行くうち、答えがどんどん遠ざかる。殺された人の心を覗く為、林に穴を掘り、自ら土をかぶせるバン。だがそこで見えた答えは本当に事件の真実か。

この作品は、バンの見える世界と現実世界の映像が交互する。そのの緻密な交差のタイミングは、ジョニー・トーと脚本のワイ・カーファイの見事な職人芸が生きている。
キチガイの元刑事が、なんの違和感も無くハマっているラウ・チンワンはやはり類稀なる才能の持ち主だ。恋に不器用な、朴訥としたシングルファーザー、上司の妻と不倫しているセクシーな警官、何をやっても人心をわし掴む。

映画についているカテゴリーは、宣伝以外にはなんの意味も無い事が、この作品を観ると良くわかる。スリラーでもホラーでも、映画は面白ければいい。面白くて可笑しくて、怖ければもっといい。ジョニー・トー監督の映画に対する情熱を、ふんだんに感じることができる1時間30分だ。
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hkny Emi Ueyama
性別:
女性
自己紹介:
ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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