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フランシス・ンのエンジンが全開だ。このところ、コンスタントに年間4本づつ映画に出演しているが、どの作品でも鮮烈な印象を残し、手を抜かない。はまり役という言葉が必要ないくらいで、弁護士でもチンピラでも空手のマスターでも、髪型や声色を変えても、本人の色は決して消える事が無い、稀有な俳優である。「钮扣人」は実験的な語り口を持った作品だが、特別な世界観を持っている。それに完全に沿いながらも、独自の絵を描いている。しかもマンダリンでだ。最近のフランシス・ンは褒める事しか出来ない。
ウェイ(フランシス・ン)は組織お抱えの掃除屋。組員の犯した殺人の後始末をするのが仕事だ。近頃、若手の幹部の猟奇殺人の片付けをさせられる事が多い。直接手を下さないウェイだが、証拠を完全に隠滅する事によって、複数の殺人を誘発する結果を作っている。ある日仕事を一人締めしようと画策するパートナーのドクター(レオン・ダイ)によって頭を殴られ、一部記憶を無くして行く。そんなウェイを心配した組織の大ボスは、新入りユィにウェイの見習いになるように頼むのだが。
組織の掃除屋という視点が面白く、死体の内臓を売り飛ばす設定も独創的だ。台湾人監督のチェ・レンハオは、香港映画とは全く違う、芸術性の高い作品に仕上げようとしたようだ。台湾映画はエドワード・ヤンやホウ・シャオセンに代表されるように、時間軸の使い方が独特で、エンターテイメント性が高いとは言いがたい。本作品も起承転結が無く、記憶を亡くしやすいウェイの視点で、過去と現実がごちゃ混ぜになり、映画の終わりも現実だったのか、そうでなかったのか、あやふやなままで、わかりにくい。素晴らしい発想を持った作品だけに、違う手法で観たかったと思わざるを得ない。
もちろん、映像は味があり、音楽もいい。ウェイと恋人の娼婦(テリー・クワン)の二人の絡みは、暖かく切ない。この二人の存在は確実に作品の重みを増している。
観て損はないが、後味がすっきりしない。従来の香港映画に飽きてしまっている人には、いいかもしれない。
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ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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