忍者ブログ
ニューヨークのチャイナタウンは、香港、中国本土、台湾と時差なし。ここでは最新の映画タイトルのDVDが手に入ります。映画情報をいち早くお届けします。
[19]  [18]  [17]  [16]  [15]  [14]  [13]  [12]  [11]  [10]  [9
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





やっと、という言葉は適当でないかもしれない。この作品で、台湾の「金馬奨」香港の「金像奨」に続き、「アジア太平洋映画祭」でも「最優秀主演男優賞」を受賞。「三冠王」として2009年の有終の美を飾ったニック・チョン。スター ニコラス・ツェーを差し置いて主演男優賞での快挙だ。

ほとんどセリフらしいセリフも無く、表情を劇的に変化させるわけでもない。切々と語るのは白く濁っている目と頬の筋肉だけだ。それでも圧倒的な悲哀が伝わってくる。誘拐の報酬で重症の妻を養い、自らの身体をも傷つけながら、感情もなく静かに罪を重ね続けるしか生き残る方法が無く、出口が見えないホンの憂鬱を、鬼気迫る迫力で演じきった。

銀行強盗犯チョン・ヤットンの追跡中に、三叉路で信号無視で突っ込んできた車に、追跡車ごと追突される。その混沌とした現場で、誤って少女を射殺してしまったトン刑事(ニコラス・ツェー)。彼は、事件から数ヶ月たった今でも死んでしまった少女のことばかりを考え、自責の念に囚われていた。チョン・ヤットンの裁判を担当する検察官は、偶然にもトンが死なせてしまった少女の母親アン・コウ(チャン・ジンチュウ)で、初公判を目前にした日、アンのもう一人の娘が誘拐されてしまう。犯人のホン(ニック・チョン)は、チョン・ヤットンの有罪を決定付ける血液サンプルの隠滅をアンに要求してくる。これを知ったトンは単独でホンを追うのだが…。

チャン・ジンチュウの可憐な母親振り、ニコラス・ツェーも動きの切れが良く、ラストには渾身の演技をみせる。健闘しているが、ニック・チョンがあまりにも強烈なので、他の全ての印象が薄くなる程だ。映画自体は良くできてはいるが、ターミネーターの亜流版の作りで退屈に感じる。ラスト10分のホンの回想シーンでやっと辻褄が合い、納得するが。

芸歴20年、長らく日の目を見なかったが、04年ジョニー・トー作品「大事件」で初めて大規模製作での映画の主演を演じた。それ以降も着々と主演を重ね、この作品での数々の受賞は、彼のキャリアを不動の物にするはずだ。

動物的な部分で人に対し嫌悪感を感じる事が誰しもある。まさにニック・チョンはそのレベルまで五感で伝える事が出来る俳優だ。この作品でそれが体感できるだろう。
スター誕生の瞬間をお見逃し無く。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
フリーエリア
最新CM
[02/01 えみ]
[01/31 八神かかし]
[01/14 emi]
[01/14 ナイトライダー]
[12/31 八神かかし]
最新TB
プロフィール
HN:
hkny Emi Ueyama
性別:
女性
自己紹介:
ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者アド
フリーエリア
アクセス解析
忍者ブログ [PR]