ニューヨークのチャイナタウンは、香港、中国本土、台湾と時差なし。ここでは最新の映画タイトルのDVDが手に入ります。映画情報をいち早くお届けします。
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カーチェイス・カーチェイス、全編カーチェイス。ルイス・クーが6歳の女の子の誘拐犯を追う時には、コンクリートで埋め立てられた川を車で疾走する。ヒーローのはずのルイス・クーがこれまた駄目男で、深刻なはずの場面も彼のワーワー言う声に大笑いさせられる。はらはらどきどきしながら、同時に笑う、子供の頃にこんな映画みたよね、と懐かしくもなる。いつかお正月に連れて行ってもらって観た映画の思い出が蘇る。はらはらどきどきのアクションに、やっぱり最後は家族の愛で締める。ベニー・チャン監督の映画への愛が溢れる作品。
娘を学校に送り届けたあと、突然謎の集団に誘拐されたグレース(バービー・スー)。見知らぬ廃屋に拉致された彼女は、壊れた電話の線をつないで外部との接触を試みる。彼女からの電話を偶然受け取ったのは、しばらく離れて暮らす息子を見送るため空港へ向かっていた阿邦(ルイス・クー)。始めは悪質ないたずらだと思ったいたが、娘を保護するよう頼む彼女の声にただならぬ空気を感じる。警官(ニック・チョン)を見つけるが相手にされず、彼女の娘がいるという学校に一人向かうが。
「新香港警察」のベニー・チャン監督が、ハリウッド映画「セルラー」をリメイク。見知らぬ女性から突然「監禁されている」という電話を受け、電話だけを頼りに彼女を救出しようとするルイス・クー。スタントなしのカーアクションを本人がこなしている。いつもの完全無欠な強い男のイメージはなく、ひ弱で、子供に嘘をついてしまう、どこにでもいるお父さんを演じていて、そのへたれぶりがかわいい。台湾のアイドル女優、バービー・スーも美しい指を震わせながら、泣き叫ぶ、か弱くてつい守ってしまいたくなる母親役を好演。脇のニック・チョンは、さすがの存在感。彼は出番が少なくても、いつも確実に強い印象を残す、素晴らしい俳優。悪役のリウ・イエの無国籍な佇まいと、不気味さも貴重な存在だ。
突っ込みどころは多数。だが頭でっかちにならず、思いっきり笑って、思いっきりはらはらして、鑑賞後は気分がすっきりする、それは本来あるべき姿の映画なのかもしれない。娯楽大作という冠に相応しい一作。
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独特な映像文化を持つ台湾。リアリズムを追求し、香港や中国などの中華圏、他のアジア諸国とは全く違作り方で、必ずしも起承転結や、強いストーリーがあるわけではない。どちらかといえば、ヨーロッパの映画に近く、淡々と始まり、淡々と終る。芸術性が重視され、娯楽性は二の次という事が多い。だがこの作品は、見事に芸術性と娯楽性を融合させ、台湾映画の次の方向性を決める、指標となるかもしれない。
母の日の夕食の約束、妻に帰宅途中ケーキを買うため、店の前に車を止めたチェン(チャン・チェン)戻ると、真横に黒塗りのベンツが横付けされていて、自分の車が出せない状態になっていた。隣のビルの床屋でベンツの持ち主を尋ねると、3階の住人かもしれないという。3階のアパートに行ってみると、老夫婦と孫の3人暮らしの家族が住んでいた。盲目のおばあさんに息子と間違えられ、夕食を一緒にとるはめになり、戻ってようやく家に帰れると電話をした瞬間、買ってきたケーキをお尻で潰してしまう。汚れたデニムを洗う為に、再び床屋に寄り、車に戻るとまた2重駐車されていた。
とにかく物事が思う通り進まない。複数の人物のそれぞれのストーリーが、ひとつひとつ解明されていく。3階の息子の安否、4階の売春組織の秘密、チャン夫婦の夕食の理由、それらが複雑に絡みながら、やがて全てひとつにまとまっていく。次から次へと起こる事件の語りは、スピード感があり、アーティスティックな映像と合い間って、意外にあっさりと観れる。CMで鍛えたチョン監督のリズム感が、それを可能にしているのは、見事な手腕といえる。
映像はスタイリッシュ。モダンアートのインスタレーションの様な、前衛的なシーンが挟み込まれていたりする。ネクスト・ムーブメントの香りが濃厚だ。
やっと、という言葉は適当でないかもしれない。この作品で、台湾の「金馬奨」香港の「金像奨」に続き、「アジア太平洋映画祭」でも「最優秀主演男優賞」を受賞。「三冠王」として2009年の有終の美を飾ったニック・チョン。スター ニコラス・ツェーを差し置いて主演男優賞での快挙だ。
ほとんどセリフらしいセリフも無く、表情を劇的に変化させるわけでもない。切々と語るのは白く濁っている目と頬の筋肉だけだ。それでも圧倒的な悲哀が伝わってくる。誘拐の報酬で重症の妻を養い、自らの身体をも傷つけながら、感情もなく静かに罪を重ね続けるしか生き残る方法が無く、出口が見えないホンの憂鬱を、鬼気迫る迫力で演じきった。
銀行強盗犯チョン・ヤットンの追跡中に、三叉路で信号無視で突っ込んできた車に、追跡車ごと追突される。その混沌とした現場で、誤って少女を射殺してしまったトン刑事(ニコラス・ツェー)。彼は、事件から数ヶ月たった今でも死んでしまった少女のことばかりを考え、自責の念に囚われていた。チョン・ヤットンの裁判を担当する検察官は、偶然にもトンが死なせてしまった少女の母親アン・コウ(チャン・ジンチュウ)で、初公判を目前にした日、アンのもう一人の娘が誘拐されてしまう。犯人のホン(ニック・チョン)は、チョン・ヤットンの有罪を決定付ける血液サンプルの隠滅をアンに要求してくる。これを知ったトンは単独でホンを追うのだが…。
チャン・ジンチュウの可憐な母親振り、ニコラス・ツェーも動きの切れが良く、ラストには渾身の演技をみせる。健闘しているが、ニック・チョンがあまりにも強烈なので、他の全ての印象が薄くなる程だ。映画自体は良くできてはいるが、ターミネーターの亜流版の作りで退屈に感じる。ラスト10分のホンの回想シーンでやっと辻褄が合い、納得するが。
芸歴20年、長らく日の目を見なかったが、04年ジョニー・トー作品「大事件」で初めて大規模製作での映画の主演を演じた。それ以降も着々と主演を重ね、この作品での数々の受賞は、彼のキャリアを不動の物にするはずだ。
動物的な部分で人に対し嫌悪感を感じる事が誰しもある。まさにニック・チョンはそのレベルまで五感で伝える事が出来る俳優だ。この作品でそれが体感できるだろう。
スター誕生の瞬間をお見逃し無く。
「痛み」イー・トンシン監督の社会派シリーズで、本当に伝えたいのは「痛み」ではないだろうか。肉体だけでも、精神だけでもない。社会の底辺でもがき苦しむ人々に焦点をあて始めたイー。「ワンナイト・イン・モンコック」以降、今までの感傷的恋愛映画から、180度シフトを切り替えた。彼に何かがあったのかはわからない。だが香港での製作にこだわり続け、比類なき才能を見せ付けられる我々は、街の片隅にうずくまり生活している人々の声を拾う彼の仕事を追うしかない。
麻薬捜査官のニック(ダニエル・ウー)は、香港ヘロイン市場の70%を掌握している売人・クワン(アンディ・ラウ)の組織に潜入して8年が経つ。の右腕としてすっかり信頼されているニックは、虎視眈々と組織壊滅の機を窺っていた。一方、50歳を過ぎ、糖尿病によって肝臓を患っているクワンは、ニックにビジネスを引き継ぎ、引退しようと考えている。そんなある日、ニックは向かいに住む幼い娘とその母親のフェン(チャン・ジンチュー)と出会う。貧しく、食事も満足にできていない彼女たちの面倒見ているうちに、ニックはフェンが重度のヘロイン中毒者であることを知る。
ヘロインけしを栽培するタイの農民達は詐取され、中毒患者達はそれを手に入れる為に全てを失い、それ以上を搾り取られ、死を待つしかない。容易に止められないから、ぐるぐると地獄と天国をさまよい続けるしかないのか。どうしようもない社会の最底辺でさまよう人々を利用して、巨万の富が動くから、麻薬は形を変えても、永久に無くならない、そんなメッセージがこめられているように感じた。
この作品の見所は、なんと言ってもアンディ・ラウの憑依したかの演技だ。いつものアイドル然としたかっこよさを捨て去り、下品で、病気で、歳老いた、麻薬の売人を大熱演。白髪頭で糖尿病患者の彼がトイレで用を足すシーンなど、目を背けたくなるくらい痛々しく、なりふりかまわない役者魂に脱帽する。コンサートで腰をふりふりスパンコールの衣装を着て踊る彼の姿からは想像出来ない。ちょっと猫背でせこせこ歩く姿に、ファンもショックを受けただろう。この作品で、アンディは香港電影金像奨で最優秀助演賞を獲得した。
もちろんイー監督作品には欠かせないダニエル・ウーも力演だし、チャン・ジンチューは麻薬常習者にしか見えず、その夫役のルイス・クーにいたっては、誰だかわからない程役を作りこんでいる。夫婦とも怖すぎるほどリアルで体当たりだ。アニタ・ムイも肝っ玉母さんが似合っていた。スター達がオーラを封印して全力投球していて、彼らの仕事振りを見るだけでも十分価値のある作品である。
香港電影金像奨に最多15部門でノミネートされたこの作品、興行的には大成功とは言えなかったが、社会的にも意義のある作品で、日本で劇場公開されなかったのは、残念。中国の大資本におもねる事も無く、意思を曲げる事無いイー監督には、最大限の敬意を払いたい。
フランシス・ンのエンジンが全開だ。このところ、コンスタントに年間4本づつ映画に出演しているが、どの作品でも鮮烈な印象を残し、手を抜かない。はまり役という言葉が必要ないくらいで、弁護士でもチンピラでも空手のマスターでも、髪型や声色を変えても、本人の色は決して消える事が無い、稀有な俳優である。「钮扣人」は実験的な語り口を持った作品だが、特別な世界観を持っている。それに完全に沿いながらも、独自の絵を描いている。しかもマンダリンでだ。最近のフランシス・ンは褒める事しか出来ない。
ウェイ(フランシス・ン)は組織お抱えの掃除屋。組員の犯した殺人の後始末をするのが仕事だ。近頃、若手の幹部の猟奇殺人の片付けをさせられる事が多い。直接手を下さないウェイだが、証拠を完全に隠滅する事によって、複数の殺人を誘発する結果を作っている。ある日仕事を一人締めしようと画策するパートナーのドクター(レオン・ダイ)によって頭を殴られ、一部記憶を無くして行く。そんなウェイを心配した組織の大ボスは、新入りユィにウェイの見習いになるように頼むのだが。
組織の掃除屋という視点が面白く、死体の内臓を売り飛ばす設定も独創的だ。台湾人監督のチェ・レンハオは、香港映画とは全く違う、芸術性の高い作品に仕上げようとしたようだ。台湾映画はエドワード・ヤンやホウ・シャオセンに代表されるように、時間軸の使い方が独特で、エンターテイメント性が高いとは言いがたい。本作品も起承転結が無く、記憶を亡くしやすいウェイの視点で、過去と現実がごちゃ混ぜになり、映画の終わりも現実だったのか、そうでなかったのか、あやふやなままで、わかりにくい。素晴らしい発想を持った作品だけに、違う手法で観たかったと思わざるを得ない。
もちろん、映像は味があり、音楽もいい。ウェイと恋人の娼婦(テリー・クワン)の二人の絡みは、暖かく切ない。この二人の存在は確実に作品の重みを増している。
観て損はないが、後味がすっきりしない。従来の香港映画に飽きてしまっている人には、いいかもしれない。
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自己紹介:
ニューヨークはチャイナタウンで、最新DVDを仕入れる日々。
ウォン・カーウァイマニア。その他注目しているのは、イー・トンシン、ジョニー・トーらの香港にこだわり続ける監督達。
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